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こんにちは、青森市の社会保険労務士、本田淳也です。
前月に引き続き、青森商工会議所会報誌「かけはし」6月号に雇用調整助成金の記事を書きました。
ご参考になれば幸いです。
制度が複雑で申請までのハードルが高いといわれていた雇用調整助成金(以下、雇調金という)。
当初から複数回に渡り小規模な簡略化が図られてきましたが、まだまだ難しいとの声を受け、厚生労働省は5月19日に段違いに簡略化された雇調金をスタートさせました(以下、簡略版という)。
厚労省の本気度を感じさせる簡略版を中心にみていきましょう。
簡略版は、従業員がおおむね20人以下の会社や個人事業主が対象となり、実際に従業員に支払った休業手当の8~9割程が助成金から支給されるようになったのが大きな変更点。
そのほかにも休業協定書が提出不要、申請用紙も3種類へ減少、一部添付書類も省略できるようになりました。
さらには分かりやすいマニュアルも用意されており、専門知識がなくても手順通り進めていけばスムーズに完成できるのではないでしょうか。
最低限度まで絞った印象を受けますので、現場から事務までをこなしている忙しい店主でも、ひとりでこなせる難易度になっていると思います。
助成額のベースとなる平均賃金額の算定に、労働保険確定保険料申告書だけでなく、源泉所得税の納付書も利用できるようになりました。
今年度または前年度の任意の月を選択可能。
申請2回目以降を所得税納付書に切り替えるといったパターンもOKのようです。
役員やアルバイトを含めた「支給額」と「人員」をそのまま利用します。
ただし、賞与は含まれませんのでご注意を。納付書の控えも添付しましょう。
従来は給与の支払日以降でなければ申請できませんでしたが、現在は休業手当が確定すればすぐに提出可能となりました。
例えば、月末締め翌月20日支払の場合、5日に給与計算が終われば20日の支払日を待たずに、その時点から申請することができます。
現在、青森県では審査に1か月程かかっているようですので、早めに申請することで資金繰りを緩やかにすることができます。
オンライン申請も可能となり、ハローワークの窓口に出向かなくてもよくなりました。
ただ、本稿執筆時点ではシステム不具合により稼働が延期となっています。
また書類に自信のない方は逆に時間のかかるケースも考えられますので、空いている時間に持参するのも検討してください。
その際は訂正に備え、捨印を押しておくとスムーズに進むでしょう。
落ち込んだ売上がいつどの程度回復するのか・・・また第二波がやってくることも念頭におき、今は“業務量に合わせて従業員を休業させる”ことが大事です。
100%の休業手当であれば、従業員から不満は出ないでしょうし、雇調金からその額の94%(解雇無し等の条件あり)が支給されるため人件費を抑えて体力を温存できます。
特に簡略版は本当にシンプルなため、多大な影響を受けているサービス業のほか、製造業や小売業、医療機関などでも申請の検討をお勧めします。ネックになりそうな助成額の上限8,330円/日についても、今後15,000円程度に引き上げ予定とされていて、また6月30日までとなっている緊急対応期間も9月末までの延長で調整しているようです。
さらに解雇しない中小企業の助成率を100%に引き上げる予定もあると聞きます。
困難な時だからこそ、従業員は経営者の背中を見ています。先を見越しながら雇調金をフル活用し乗り切りましょう!
社会保険労務士 本田淳也