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倒産や解雇によって離職したら・・・雇用保険の給付日数が大幅に増えるケースも~その一~

こんにちは、青森市の社会保険労務士、本田淳也です。

雇用保険の基本手当(失業手当)とは!

雇用保険には、労働者が失業した場合に必要な給付を行う求職者給付(基本手当)というものがあります。
いわゆる「失業手当」と呼ばれているもので、労働の意志と能力のある方に対し一定期間給付されます。

この基本手当には離職理由によって3種類あります。
①一般の離職者
②特定理由離職者
③特定受給資格者
実務上、②と③は知らない方がほとんどだと感じています。

一般の離職者の場合

まず一番多いのが①一般の離職者。
自己都合退職が該当となり、給付日数は以下の通り。
 被保険者期間      給付日数
1年以上10年未満・・・・・90日
10年以上20年未満・・・120日
20年以上・・・・・・・・150日

特定受給資格者の場合

次に多いのが③特定受給資格者。
離職理由としては、会社の倒産や解雇が対象となります。
(そのほか賃金未払や長時間残業、雇止め等もあり、下記参照)
自己都合ではなく、会社の都合によって離職という不利益を考慮し、大きく異なる点が3つ。

1.給付日数が増加するケースも

年齢と被保険者期間に応じて90日~330日の給付日数となります。
例えば47歳で被保険者期間が8年の方が自己都合退職した場合は給付日数90日ですが、特定受給資格者になると240日と大幅に増えます。

2.3か月の給付制限も

自己都合退職の場合は、待機7日間+3ヶ月(給付制限)経過しないと受給できませんが、特定受給資格者は待機7日間の翌日から支給対象となります。

3.被保険者期間も短縮!

自己都合退職の場合は離職日以前2年間で12カ月以上の被保険者期間が必要ですが、特定受給資格者は離職日前1年間で6ヵ月の被保険者期間で受給可能となります。

特定受給資格者の範囲はこちら!

1.倒産等により離職した者
(1)倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者

(2)事業所において大量雇用変動の場合(1か月に30人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職したため離職した者

(3)事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者

(4)事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者

2.解雇等により離職した者

(1)解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者

(2)労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者

(3)賃金(退職手当を除く。)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったことより離職した者

(4)賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)

(5)離職の直前6か月間のうちに[1]いずれか連続する3か月で45時間、[2]いずれか1か月で100時間、又は[3]いずれか連続する2か月以上の期間の時間外労働を平均して1か月で80時間を超える時間外労働が行われたため離職した者。事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者

(6)事業主が法令に違反し、妊娠中若しくは出産後の労働者又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと又は妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用をしたこと等を理由として不利益な取扱いをしたため離職した者
(7)事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者

(8)期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者

(9)期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記(8)に該当する者を除く。)

(10)上司、 同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者、事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことにより離職した者及び事業主が職場における妊娠、出産、育児休業、介護休業等に関する言動により労働者の就業環境が害されている事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことにより離職した者

(11)事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)

(12)事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した者

(13)事業所の業務が法令に違反したため離職した者

社会保険労務士 本田淳也(青森市)







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