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こんにちは、青森市の社会保険労務士、本田淳也です。
自動車流通新聞の3月コラムをご紹介します。
若い整備士や板金・塗装工が入ってこない・・・そのような声をよく耳にします。
自動車業界のみならず全国的に人手不足が叫ばれる中、4月より高年齢者雇用安定法の改正により70歳までの就業確保が努力義務として施行されます。
現行制度から70歳定年までの具体的な中身を見ていきましょう。
少子高齢化が急速に進行し人口が減少する中で、労働力を確保し経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図るのが「高年齢者雇用安定法」。
現場目線でシンプルに考えると、若い従業員が入ってこなければベテラン社員にできる限り長く働いてもらわないと業務が回らない、といった感じ。
この傾向はなおさら顕著になってくるでしょう。
そこでまずは現行制度からおさらいしていきましょう。
現行は65歳までの雇用確保が義務付けられていて、大別すると「60歳未満の定年の禁止」、「65歳までの雇用確保措置」のふたつ。
前者はその通りで特段問題ないものの、後者はさらに、「65歳までの定年の引き上げ」、「定年制の廃止」、「65歳までの継続雇用制度」の3つに分かれ、いずれかの措置を講じなければなりません。
この中でもっとも多い組み合わせが、60歳定年と65歳までの継続雇用制度でしょう。
60歳の定年で一度リセットした後、新たに会社が労働条件を提示(一般的に給与は下がる)、それに合意すれば雇用を継続していき、その際は1年更新の有期労働契約となるケースが多い。
会社側が有利に進められるため、この流れが鉄板として普及していました。
ですが、最近は流れが変わりつつあります。
働き手の確保を最優先と考え、定年を65歳に延長するといった会社も多くなってきたのです。
そもそも従来の60歳定年は新卒採用を前提としたもので、その肝心の新卒者が入ってこなければ定年を延長しても従業員数に変動はなく、また60歳を超えたからといって業務処理能力が急速に落ちるというわけでもありません。
そう考えると、定年を65歳に延長することによって、安心して働ける職場環境を形成でき、さらには求人募集をする際の他社との差別化も図れます。
このような現行制度の選択肢は、会社側のメリットを優先するか、または人材不足解消を取るかで判断が異なります。
現状ではまだまだ「継続雇用制度」を導入している会社が多いものの、喫緊の課題である人手不足という波に押され、少しずつ定年を延長する事業所が増えてくるように思います。
メリットとデメリットをしっかり把握していただき、会社に合った定年制度を構築していきましょう。
次回は4月改正に伴う70歳までの就業確保についてお話しします。
社員がイキイキ働く組織づくりを目指す
社会保険労務士/自動車整備コンサルタント 本田淳也(青森市)