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こんにちは、社労士の本田淳也です。
SUBARUだよりの連載「これからの自動車販売店経営術」の第3弾が完成しました。
今回は「整備士不足を解消する」です。
自動車業界に限らず人出不足が顕著となっています。
ぜひご覧ください!
フォトだと見えにくい方もいると思いますので、テキストでもアップしておきます。
自動車整備コンサルタント・社会保険労務士 本田淳也(青森市)
全国的に自動車整備士の数は減少傾向にあり、慢性的な人手不足に陥っている現場は少なくありません。
皆様も、それを肌で感じられているのではないでしょうか。
自動車整備士の需要がますます高まっている今。
ここでは、新たな整備士を採用する上での効果的なルートについて考えてみます。
少子化の影響や景気の低迷、度重なる法改正、物価高により経営の難度が上がっている昨今、限られたリソースをどのように活用していくのかが経営者の腕の見せ所ですが、筆者が感じる2大テーマは“売上”と“ひと”だと思っています。
特にここ数年、技術職である整備士不足が顕著となっていて、業務に支障をきたしている会社も増えてきました。
クルマに興味のない若者が増加し、整備士を目指す10代が減っている現状においては、従来の採用手段をひとつずつ見直すと同時に、新たなルートにもトライしていく必要があります。
まずは図表の経路別入職割合をご覧ください。トップである「広告」に次いで2位に25%の「縁故」が挙がっていて、実に4人に1人がそのルートで入職しています。
求人募集の第一選択肢となる3位の「ハローワーク」を上回っていて、意外だと感じる方も多いのではないでしょうか。
ここ数年、リファラル採用が注目されています。これは、社員に友人・知人を紹介してもらう手法です。
紹介という点では縁故と似ていますが、それよりも幅広く、また採用についても本人の適性や能力を考慮し適切に判断することができます。
今までも多くの会社で紹介により採用したケースは多々ありますが、それとの違いはリファラル採用の可能性を強く認識し、“積極的に社員に働きかける”という点です。
つまり自然発生的にゆるくやるのではなく、インセンティブや案内文作成等を実施し組織的に取り組むことが重要となります。
自動車会社においては営業・事務スタッフでも有効ですが、とりわけ整備士の場合、整備専門学校の友人を中心にメカニック同士でつながっているケースも多く効果的です。
お互いのミスマッチを防げるという特徴もありますし、整備に興味のある未経験者を発掘することも可能です。
人出不足がますます深刻化するこれからは、このような人脈採用術を駆使しながら人材を確保する必要があるでしょう。
まずは社員へ積極的に働きかけることから初めてはいかがでしょうか。
意外と知られていませんが、自衛官の大半は55歳で定年退職し、厳しい訓練で培った責任感や指導力、職務に応じた技術等を第二の職場で活かしています。
駐屯地には自衛隊車両の点検・整備・板金塗装を担当している部隊もあり、3級整備士や機械関係に強い方もいます。
民間とは違い即戦力というワケにはいかないものの、相応の実務経験を有しているため飲み込みの早い方であれば数か月で車検程度はこなせると思います。
気になる年齢については年金が支給される65歳頃まで働く方が多く、現在の人出不足においては約10年という勤続年数もさほど支障がなくなりつつあります。
そのほか任期制の若い退職者もいます。20代の方が多く、実際に本人の希望により3級整備士の取得を目指し、学科と実技講習に取り組んでいるケースもあります。
実務経験は期待できないものの、整備士を目指す意欲ある20代にアプローチできることは魅力的です。
個人的にはミスマッチを防ぐため、2日前後のインターンシップを実施するのがお勧めです。
自衛隊はほとんどの都道府県に駐屯地があるため、気になる方は地方協力本部の援護課までお問い合わせください。
求人はまだまだハローワークだけという会社も多いでしょう。
このシステムも進化し、今は窓口に行かなくてもハローワークインターネットサービス(以下HWISという)で公開や修正といった手続きをすることができます。
実務上、大きく異なるのが「オンライン自主応募」が可能になっていることです。
例えば在職中で会社を変えたいという転職組にとってネックになる「ハローワーク紹介状」が不要となり、また会社も即戦力の整備士や営業スタッフ等からの応募を期待できます。
従来のアナログ応募についても、上記理由のほか、UIJターンの応募も期待できるため、ハローワーク紹介状は不要にするのがお勧めです。
また、このHWISにはそれぞれの項目文字数に上限があります。
ほとんどの求人は最低限の内容だけで空白が多く見られますので、この部分を目一杯まで使ってアピールしましょう。
例えば検索画面でもトップに表示される「職種」。
28字まで可能なため、「自動車整備士」だけでなく、「自動車整備士/専門・先進技術も対応可能なメカニックを育成」といったように、どんな整備士を求め、どのように育てていきたいか等を記載しましょう。
ほとんどの独立系整備工場では、営業職へ異動になりそうなディーラー整備士からの応募を期待していますが、なぜか求人票へそのような記載が手薄です。
「ディーラー整備経験者歓迎」といったように本心をアピールできれば同業他社より一歩リードできます。
近年、急速に外国人整備士が増えてきました。採用ルートは、「整備専門学校を卒業した留学生」と「技能実習制度利用者」のふたつ。
前者の多くは日本語学校を卒業した上で、さらに整備知識を習得しているため、求人倍率が高く売り手市場となっています。
一方、後者の多くは整備知識が少なく日本語も勉強中のため、仲介役を担う監理会社に依頼すれば数か月で採用まで進めるでしょう。
それぞれの特徴を踏まえることが大事ですが、共通しているのは“イチから育てる”という意識ですので、新人を育成できる組織を作り上げていきましょう。
また近年欠かせないデジタル求人でいうと、クラウドの無料採用支援ツールが複数登場して利用者も増えています。
とりわけ若い世代を獲得したい場合は、従来の手法に加えてこの手のツールも効果的です。
「デジタルはちょっと苦手」という方は採用代行会社へ依頼するのも一案です。
新規採用ルートが多岐に渡ってきています。
自社で対応するのが基本ではあるものの、困難な場合は割り切って外部に委託した方が効率的なケースもあります。
今後、人材採用をどのように進めていくのかトータルで考えていきましょう。