お電話でのお問い合わせ017-752-0506
こんにちは、青森市の社労士、本田淳也です。
以前もお伝えした通り、株式会社SUBARUが全国のスバルショップに配布しているSUBARUだよりに「これからの自動車販売店経営術」を全5回で連載することになり、第1回目となる、序章「自動車業界の現状と今後の進むべき道」が完成しました。
(この素晴らしいタイトルは先方が考えてくれました)
冊子としての完成度がとても高く、地域における編集者とデザイナーの力量差を感じざる得ません。
こちらでもアップしておきますので、もしよかったらご覧ください。
フォトだと見えにくい方もいると思いますので、テキストでもアップしておきます。
100年に一度の大転換期といわれる現在の自動車業界。
販売店の皆様におかれましては、自動車業界の変化のスピードを身に染みて感じていることと思います。
こうした状況の中、自動車販売店、整備業が心がけるべき点は何か。
本連載では5回にわたって、自動車整備コンサルタントの本田淳也氏に、これからのあるべき自動車販売店経営について指南していただきます。
昨年、10年乗ったトヨタ車からフォレスターに乗り換えました。
性能は期待以上で、特に昨シーズンの大雪の中をグイグイ進む走破性は特筆すべきものがあり、以前の愛車だった四輪駆動車と大差なく、短期間でスバリストの仲間入りになりました。
そんな地方では生活に欠かせない自動車も、メンテナンスをしてくれる整備士がいなくては成り立ちません。
ここ10年、整備士等の人数は減少傾向にある上、専修学校の自動車整備学科に入学する学生は定員に対し7割程度となり、長らく定員割れが続いています。
結果として、整備士等の平均年齢は毎年上昇し、独立系整備工場では45歳~46歳に達しています。
また国土交通省が2015年に発表した「自動車整備士不足の現状と行政の取組」によると、ディーラーの8割が整備士の採用に困っていると答え、4割が「一部採用できたが不足」、1割が「採用できなかった」と回答しています。
慢性的な整備士不足の背景には、平成23年頃から続く保有台数の増加も影響しているでしょう。
一方で、電気自動車の開発が急速に進んでいます。
現在主流のエンジン(内燃機関)には「二酸化炭素発生による温暖化の影響」や「低いエネルギー自給率」などの問題があるため電気自動車へのシフトが進んでいるのですが、足元に目を向けると、自動車の輸出は年間15兆円を超える最大品目である上、500万人以上が関連産業に就業しており、まさに日本経済の屋台骨。
電気自動車には欠かせないレアメタル確保という課題もあり、まさに官民一体で世界に挑む格好となっているのです。
さらに自動運転も年々進化しています。
2018年に政府が発表した「自動運転に係る制度整備大綱」によると、自動運転が目指す最たるものは、「安全で安心な移動ができること」とされています。
つまり、人為的ミスによる自動車事故を減らすことです。
国土交通省が発表した「自動運転を巡る国内・国際動向」では、2013年に交通事故により死亡した4,000人のうち、96%が運転者に起因していたようです。
現在はレベル3(条件付き自動運転車)まで実車化が進んでいて、今後さらに自動ブレーキや車間距離の維持等を搭載した自動車が普及してくると、事故件数は確実に減少すると予測されます。
これらの先進技術は環境にもユーザーにも大きな恩恵をもたらしますが、その反面、整備士の負担は格段に増します。
現在の機械を中心とした知識や整備技術では事足りず、新たに電気や電子といった幅広い知識が不可欠となります。
技術習得のため多くの時間を研修等に費やす必要があるものの、昨今の整備士不足の状況においては一定のハードルがあることは事実です。
また、整備士の平均年齢と同世代の筆者は27年前に北海道自動車短大を卒業しました。
この世代の整備士はクルマと機械いじりが好きでこの職業を選んだ人が大半だと思います。
ディーラー整備士時代を振り返ってもそうですが、電気を苦手としている人が圧倒的に多く、ましてや電子となると想像がつきません。
さらに長年やってきたことを変えるとなると、この年齢だと正直億劫が先に立つ整備士も多いでしょう。
つまり、能力とモチベーションの問題も無視できないということです。
2024年4月までの特定整備制度への対応もあり、なすべきことが山ほどある自動車会社。
筆者は、職種に関係なく「経営のど真ん中に人を置く」ということが、100年に一度の大変革に淘汰されず乗り切る良策だと思っています。
採用の段階から力を注ぎイイ人材を確保し、キャリアアップができるよう研修等を疎かにせず、一定の高いモチベーションを保てるよう組織づくりに汗を流し、常に改善の意識を持ちつつ、そして部下の指導もしながら戦力として定年まで働いてくれる・・・そんな社員を多く育てていく必要があります。
が、現状はどうでしょうか。目の前の仕事に追われ、日常業務をこなすだけの毎日になっていませんでしょうか。
社員の生産性やモチベーションが上がると結果として利益が増加し、労働条件を良くしたり、必要な機器を揃えたりと、改善の選択肢が広がると同時に、社員を育成する時間や経費も捻出でき、多くの部分でプラスのスパイラルが始まります。
また経営戦略上、社員の質で差別化を図ることが最も重要であり、そのために成すべきことを次回からの連載で詳しく解説していきたいと思います。
経営が難しくなっている昨今だからこそ、一緒に考えていきましょう!