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こんにちは、社会保険労務士の本田淳也です。
今回は、自動車流通新聞3月号に寄稿したコラムを紹介します。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自粛要請により、多くのイベント等が中止になっています。
私が講師を務める予定の青森商工会議所主催の事業承継セミナーも延期になりました。
それ以上に社労士として気になるのは、感染者等の従業員を休ませた時の会社対応、
小学校などの休校に伴い保護者が仕事を休んだ場合の所得補償、会社の業績悪化時の対策など。
3月8日時点の情報をまとめました。
労働基準法では「使用者の責に帰すべき事由」(以下、使用者責任という)により従業員を休ませた場合、休業手当として平均賃金の60/100を支払わなければならないと規定しています。
今回のケースでは、①感染者②感染の疑いがある・濃厚接触者の2パターンに分けられると思います。
①感染者
新型コロナは指定感染症となっています。
都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、使用者責任には当たらず休業手当は不要です。
ノーワーク・ノーペイの原則でいいでしょう。
②感染の疑いがある・濃厚接触者
風邪の症状や発熱といった新型コロナのような症状がある場合もしくは濃厚接触者のケースです。
専門家でも判断が分かれる難しい所ですが、まずは「帰国者・接触者相談センター」等に相談して指示を仰ぎ、自宅待機の要請があれば休業手当は不要となる可能性が高いでしょう。
そして要請がなければ会社として自宅待機の有無を検討することになります。
その際の自宅待機は使用者責任に該当する可能性があり、原則として休業手当が必要になる場合もあるでしょう。
ただ、感染防止という社会的意義も考慮しつつ、労使ともに相談をしながら年次有給休暇を選択するのも実務的な対応と思われます。
厚労省ホームページのQ&Aも参考にしつつ、総合的に判断しましょう。
小学校等の臨時休業で保護者が休職した場合の所得減少に対応するため、労働基準法の年次有給休暇とは別に、有給の休暇を取得させた会社に対して助成制度が設けられています。
イメージとしては、年次有給休暇を使わず「従業員が子供の世話で会社を休んだが、給与はそのまま支給した」というパターン。
対象は2月27日~3月31日までに取得したもので、1日8,330円が上限となっています。
景気の後退といった経済上の理由により、雇用調整を行わざるを得ない会社が従業員に対して一時的に休業等を実施して雇用を維持した場合、それに要した休業手当等の一部を助成する「雇用調整助成金」。
リーマンショックや東日本大震災の時に多くの会社が支えられた助成金です。
今回の新型コロナでも対象となるばかりか、大幅な特例措置があり、さらに拡充案も予定されています(図表)。
政府からの自粛要請により直接影響が出ている業種はもちろんですが、今後間接的に影響が及んでくる業界の皆さんにも覚えておいてほしい助成金であります。
2月の国内新車販売台数は前年同月比10.3%減と落ち込み、
さらには暖冬の影響を受けて「ツライよ~」というクルマ屋さんの声も聞こえてきます。
先行きが見えないと不安がつきまといますが、こんな時だからこそ経営者だけで悩まず、従業員の意見に耳を傾けてはいかがでしょうか。
多くのアイディアが埋まっていると思いますよ!
仕事をもっと、おもしろく。地方に活力を。
社会保険労務士/地域経営コンサルタント 本田淳也(青森市)