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こんにちは、青森市の社会保険労務士、本田淳也です。
今回は自動車流通新聞4月コラムのご紹介です。
4月より高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの就業確保が努力義務として施行されました。
あくまで義務ではなく強制力はありませんが、どのような内容になっているのか、また会社が実施した場合のメリットや注意点はどのあたりなのか。
具体的な中身を見ていきましょう。
現在は、60歳定年→継続雇用制度で65歳まで勤務というパターンが最も多く、また近年は働き手を確保するため、65歳定年とする会社が増えている、と前回お伝えしました。
今回の改正を分かりやすくいうと、現状からさらに70歳までの就業機会を確保するよう努めてください、ということ。
おそらく実務的には図表①70歳までの定年の引き上げもしくは③70歳までの継続雇用制度の導入が現実的で、両者の大きな違いとしては65歳等の定年時に、労働条件の見直しができるか否か。
例えば会社側としては、65歳という年齢になって仕事の能率も落ちてきたので、これからは給与を2割カットするなどの判断ができる可能性がある反面、従業員からは、労働条件が原則として変わらない定年70歳を望むはず。
このあたりは前回と同じように、経営を優先するか、従業員満足度を優先するかで異なるため、会社の実情を踏まえて判断してほしいと思います。
ただ、高年齢者の雇用に注意をしなければならない職種もあります。
例えば、ひとつのミスが命取りになる医療従事者や、判断の遅れが大きな事故につながる運転手などで、たとえ将来的に定年を延長する方向だとしても、細心の注意を払いながら業務を行っていく必要があります。
皆さんの自動車業界も多くの業種があり、その業務が年齢を重ねても支障がないかを適切に見定める必要があるでしょう。
人手不足や生涯現役社会の浸透により、今回の改正を機に70歳定年等を検討する会社が少しずつ増えてくると思います。
従業員にとっては選択肢が増え、喜ばしいことではあるものの、それに伴って体力差や健康度合いの問題が出てきます。
整備士であれば、力を使う作業がどの程度可能か、繁忙期の残業は何時間位まで対応できるかなど、心身への配慮が大事になってきます。
給与と同じように、作業内容や労働時間も個別対応することが業務を円滑に進めるポイントになるでしょう。
参考までに4月からの高齢法の改正により、以前よりあった「65歳超雇用推進助成金」の中身も変わっています。
大きく変更となった点は支給額で、60歳以上の雇用保険被保険者がいる会社が、定年等を70歳に延長した場合、対象人数が1人でも120万受給できる可能性があります(細かな要件あり)。
小規模事業所では大きな金額であり、申請に前のめりになるかも知れませんが、当然に従業員がそのような年齢になった時のことをしっかり想定して進めるかどうか判断しましょう。
社員がイキイキ働く組織づくりを目指す
社会保険労務士/自動車整備コンサルタント 本田淳也(青森市)