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意外と多い誤り、労災保険の実務上の注意点とは・・・

布団に入ったらすぐ寝れる、青森市の社会保険労務士、本田淳也です。

社会保険労務士という仕事をしていると、労災保険(労働者災害補償保険、以下労災)の手続きをすることがあります。

私は社労士試験でしっかりと勉強したため、ある程度身近に感じるものの、実務を行っていると、従業員はもちろん経営者もよく知らないといったケースが少なくありません。
理由としては、数年に一度発生するかどうか・・・会社としてはめったにない出来事だからでしょう。

それゆえ誤った取り扱いをしている事があります。

そこで今回は、労災の実務上の注意点に触れてみましょう。

まず基本となるのが、
労災保険・・・業務”上”の疾病、負傷(本人の費用負担なし)
健康保険・・・業務”外”の疾病、負傷(本人の費用負担3割)

このふたつに分けられます。

皆さんがお持ちの健康保険証を使用できるのは、業務外というプライベートで病院や薬局にかかった時のみ、つまり仕事中にケガをした場合は、保険証が使えません。
が、実際はこの制度を知らなくて、保険証を使用しているケースが意外と多いのです!

こんな場合は、後日、労災の手続きをする際に、病院や薬局に「業務上のケガでした」と伝えること。
そうすれば、当日本人が支払った3割の治療費・薬剤費が返還されます。(本人が病院等へ取りに行く必要あり)
あとは、病院と労働局のやり取りになります。

もうひとつ気にしてもらいたいのが、「労災保険指定医療機関」というもの。
簡単に言うと、労災指定となっている病院かどうか。
平成28年4月1日現在、青森署管轄で労災指定病院は125件。
それ以外の病院は労災指定となっていません。(意外と多いかも知れません)

このような病院の場合、手続きの流れが変わります。
主な変更点
①本人が一旦、治療費全額を病院へ支払う(10割負担)
②労災書類を病院ではなく、労働基準監督署へ提出する

指定病院の場合と大きく異なるのが①で、当日病院へ一旦、全額支払う必要があります。(指定病院は0円)

最終的にその10割の医療費は、後日労働局から本人へ全額振り込まれるものの、治療が長引けば長引く程、費用が高くなればなる程、一時的な本人負担は大きくなります。

したがって、軽微の負傷で時間に余裕のある時は、チョット遠くても労災指定病院の方がスムーズと言え、また事前に会社近くの指定病院をチェックしておくのもいいでしょう。

もちろん急を要する場合は、その限りではありません。

ちなみに薬局の多くは労災指定となっているようで、「病院は指定外」だけど「薬局は指定」というケースもあり得ます。

労災事故が発生しやすいのは、なにも危険な工事・建築現場だけではなく、火を使う厨房や、機械を扱う方、高所での作業員など・・・飲食店や農家の方なども十分に気を付ける必要があるでしょう。

~労災保険指定医療機関名簿は青森労働局のホームページからダウンロードできます~

社会保険労務士 本田淳也(青森市)
~療養補償給付はお任せ~







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