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自動車流通新聞連載コラムFile21・・・定年延長でお勧めの助成金とは ~「自動車会社の働き方改革」~

こんにちは、青森市の社会保険労務士、本田淳也です。
自動車流通新聞5月コラムのご紹介です。

2回に渡って定年延長のメリット・デメリットをお伝えしました。
最終回となる今回は定年を延長した場合に受給の可能性がある、「65歳超雇用推進助成金」を詳しく探っていきましょう。

 支給額がアップ

前回も軽く触れましたが4月から高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの就業確保が努力義務として施行されたのに合わせ、「65歳超雇用推進助成金」も変更されています。

今回はその中の「65歳超継続雇用促進コース」の制度を掘り下げていきましょう。
簡単に言うと、「60歳以上の雇用保険被保険者が一人でもいて就業規則がある会社」が対象となり、気になる支給額は図表のとおり。

例えば60歳以上の社員が一人でもいて、定年を70歳以上に延長した場合の支給額は120万円。3月までのものと比べると、定年年齢が5歳程度引き上げられているとはいえ格段にアップしています。

 制度助成

一般的な助成金は、それ相応の経費支出等が最初にあり、その一定割合を助成金として支給する、というものが多いのですが、同助成金は制度助成といわれるもので、「制度の変更」に対して支給されます。

そのため通常のものより書類チェック等が重要で、申請する前の準備段階で「この書類が見当たらない」といったケースも考えられます。

同時にこの助成金は、社労士等の専門家へ就業規則の作成・相談等を依頼し、経費の支出をすることが条件となっているため、進める際は、社労士等の専門家に相談することをお勧めします。

他の主な要件としては、「高年齢者雇用等推進者」を選任すること、健康管理や作業方法の改善といった「高年齢者雇用管理に関する措置」を実施していることなどが必須となってきます。

 運用のシミュレーションを

支給額がそれなりの金額であるため、「よし、じゃあやってみようか」と安易に傾いてしまいがちですが、最も大事なのは定年延長後の運用です。

人件費の増大はどの程度なのか、人手不足はどの程度の水準なのか、高年齢者の体調は、整備士であれば作業スピードや正確性に問題はないのかなど、事前にシミュレーションをしておかなければなりません。
目先の利益にとらわれることのないよう、くれぐれもご注意を。

 意外な盲点

申請や相談の窓口は、「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」の都道府県支部になり、原則として各都道府県に一カ所となります。

筆者は青森市在住で、同機構の支部も青森市にあるため気軽に行けるものの、なかには支部まで1時間~2時間かかる方も少なくないでしょう。

シンプルな相談は電話対応を中心にしつつ、重要な箇所は訪問してまとめて聞くといった流れがお勧めです。多くの支給要件等がありますので、ひとつずつ確認しながら進めるといいでしょう。

社員がイキイキ働く組織づくりを目指す
社会保険労務士/自動車整備コンサルタント 本田淳也(青森市)







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