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こんにちは、社労士の本田淳也です。
SUBARUだよりの連載「これからの自動車販売店経営術」の第2弾が完成しました。
これからの会社経営は生産性がキーワードとなりますので、それについて紹介しています。
ぜひご覧ください!
フォトだと見えにくい方もいると思いますので、テキストでもアップしておきます。
自動車整備コンサルタント・社会保険労務士 本田淳也(青森市)
昨今、社会的に働き方改革が叫ばれるようになり、残業時間を減らす動きも目立っています。
長時間働いても仕事が終わらないのに、働く時間が減ったら…。
そうした不安を解消させるために重要となるのが、業務の効率を向上させること。
今回は、仕事のムリ&ムダをなくし、短時間で成果を出す取組みのポイントを整理します。
「いや~、整備作業が遅くて困るよ~」、「やる気があるのか、ないのか…」。顧問先経営者と打ち合わせをしていると、よくこんな声を耳にします。
同時に経営課題が多すぎて、どれから手を付ければいいのか分からないという会社もあります。
その際、筆者は“生産性向上に取り組んではいかがですか”とお伝えしています。
昨今の企業には多くの経営課題があるものの、雪崩式のプラス効果を発揮するセンターピンは何かというと、数年前から騒がれている“生産性向上”です。
ここに手を付けることにより、“利益”と“時間”を確保できる体質へと変化し、その資金を労働条件の見直しへ、職場環境の整備へ、福利厚生の充実へ、社員研修へ、設備投資へといったように選択肢が広がり、そこからプラスのスパイラルが回り始めます。
整備士を例に解説していきましょう。
まずは図表の「整備要員1人当たりの年間整備売上高の動向」をご覧ください。
見てもらいたいのは工賃売上高で、専・兼業の総平均530万に対し、ディーラー総平均は930万。
工賃単価の違い、指定工場の有無、設備の充実度などの理由が考えられるため、ここではその差はあまり重要ではありません。
大事なのは整備士本人がいくら稼いでいるかです。
営業スタッフでは当たり前のことも、整備士等の工場スタッフでは管理されていないケースが多数を占めます。
そもそも工賃売上530万だと整備士年収は300万前後と予測され、子育て世代だと少々生活が苦しく、その原因を探らなければならない段階にあると思います。
生産性向上を進めていく際にポイントとなるのは、まず現状をしっかり把握すること。
目標設定はあとからでもいいので、まずは各整備士がどれぐらいの作業量なのかを確認しましょう。
同時に実施してもらいたいのが、ひとつの整備作業に対して「目標作業時間」を指示すること。
例えばブレーキパッド交換なら「30分」といった感じで、ユーザーに請求する工賃売上から簡単に算出できます。
筆者が整備士時代、こういった指示は無く、それこそなんとなく早く終わらせればOKといった雰囲気のまま、作業時間の目安も大体で整備をしていました。
が、経営が厳しくなっている昨今において数値目標は必須ですし、また経験の少ない整備士には取り組みやすいのではないでしょうか。
これにより目標時間をオーバーした場合、どこに問題があったのか見つめ直すことができます。
もっとも大きな時間ロスとなるのが「作業手順の誤り」。
新人のみならず、これがベストと勘違いしているベテランも意外と多く、オーバーするようであれば再確認をする必要があります。
同じように経験上、ムダと感じるのは工具を探している時間です。
筆者も入社したての頃は必要な工具がすぐに取り出せる状態になっていませんでした。
例えば12mmのソケットレンチを探しているのに見つかるのはなぜか別のサイズ。
何度か続くとイライラするし、仕事もはかどりません。
こうした経験から常に整頓を心掛けるうちに、普段あまり使わない工具でもすぐに取り出せるツールワゴンとなりました。
この辺りは性格も関係してきますので、苦手な整備士には根気強く指導していく必要があります。
もうひとつムダと感じるのは不必要なリフト操作です。
作業を中断しコントローラーまで移動し、上げ下げしている時間をじっと待つ…何度か繰り返すとそれだけで数分かかってしまうため、例えば「この車種のファンベルト交換の適切なリフト操作回数は〇回」といったように簡単なマニュアルを作成すると効果的でしょう。
そのほかにもムダな歩行はないか、不要な長話はないか、休憩時間が終わったらすぐ作業に取りかかっているか等も一度見直してみましょう。
このような整備士各々の作業スピードを向上させる取り組みの他、全体の生産性向上に欠かせないのが、現場スタッフから挙げられる“改善点”です。
風通しが良く、社員が積極的な会社であれば、「クルマ移動の動線がイマイチなので見直そう」、「たまにしか使わない共用工具が散逸しているので片付けよう」、といった声が挙がってきますが、こういったケースは少数派で、最初の内は指示をして仕組みを作っていく必要があります。
変化が激しい経営環境を考えると変わらない方がリスクですので、どんな仕事にも改善の意識を持ってもらいながら、「日々改善、日々実践」を徹底しつつ、その都度もしくは定期的に改善点を挙げてもらうようにしましょう。
参考までに予測される改善点を図表にまとめてみました。
このように今までの作業を改善して効率アップを図る従来型と同じくらい大事なのが、近年急速に普及しているデジタルを活用することです。
とりわけPC作業がある事務スタッフや営業スタッフにおいては、マッチすると作業時間を大幅に短縮することができます。
ビジネスチャットや給与・会計クラウドツールのほか、販売や整備に関するものも複数登場していますので、お試し期間も活用しながら自社に合った商品を探してみるとよいでしょう。
最後になりますが、生産性向上はあくまで目的を達成する手段でしかありません。
ですので、社員が分かりやすい目標設定をすることが重要です。
例えば、「給与5万アップへの道」とか、「残業ゼロ定時帰宅」、「年間休日5日増」いった、社員のモチベーションが上がる目標を一緒に考えて掲げるとよいでしょう。
ぜひ実践してみてください。