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こんにちは、社会保険労務士の本田淳也です。
今回は自動車新聞4月のコラム紹介です。
4月から年金制度が改正されました。最も影響のある点は「在職老齢年金」の支給停止額が引き上げられたこと。
働く高年齢者にどのような影響があるか見ていきましょう。
以前、定年退職したディーラー整備士が民間工場に移った際、「これからもらう給与で年金が停止されるか知りたい」という問い合わせがありました。
これは在職老齢年金という制度で、65歳未満の方は給与と年金(厳密には老齢厚生年金)の合計が28万を超える場合は一部年金の支給が停止されていました。
例えば、給与26万、年金10万の方の場合、計36万から28万を引いた8万の半分となる4万が年金から支給停止されます。
そのため、今までは働く時間を短くしたり、そもそも仕事をしないという選択をしていたケースもありました。
ただ、人手不足が顕著となり、60歳を過ぎても年金停止を気にせずバリバリ現役で働いてほしいという考えから、28万だった支給停止額を65歳以上の方と同じように47万に引き上げられました。
これにより、一般的な従業員であればフルタイムで働いても年金停止とならないケースが多くなるため、特に人手が足りない整備や板金塗装業を経営している会社にとっては望ましい改正といえるでしょう。
もうひとつの改正として、年金の繰り下げ受給の上限年齢が70歳から75歳へ引き上げられました。
本来は65歳頃から受給できるものを最大10歳遅らせ75歳から年金をもらうというもの。
繰り下げすると1か月ごとに0.7%ずつ増額されるため、75歳受給を選択すると84%アップとなり、例えば年金月10万の方であれば18.4万へ増額されます。
ここで気になるのは何歳までもらえば得をするのかという総受給額の損益分岐点。ここは86歳で、日本人の平均年齢を上回ります。
「自分は年金受給額があまり多くないかな~」と感じている高年齢者の資金計画で大事なのは「貯金」はもちろんのこと、「なるべく長く働いて年金を繰り下げて増額すること」もひとつの策です。
もちろんこの間、繰り下げしないで65歳から受給して貯金に回すというのも一案ですが、例えば年金より毎月の生活費が上回ると貯金が目減りしていき、人によってはストレスとなります。
その人の考え方によりますが、損益分岐点は二の次にし、貯金が減らないように年金を繰り下げして増額する方法もオススメです。
今回の改正では、その選択肢が増えたということになります。今からでもしっかり検討しておきましょう。
社員がイキイキ働く組織づくりを目指す
社会保険労務士/自動車整備コンサルタント 本田淳也(青森市)