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社会保険労務士、本田淳也です。
今回は自動車流通新聞11月号のご紹介です。
社会保険の適用拡大は人数要件を撤廃する方向で議論が進んでいます。
近い将来、パート労働者も社会保険加入となる可能性があります。
会社負担も給与額の15%ほど発生しますので、相応の経費増となります。
今のうちから生産性を向上し、利益がしっかり出る体質へと変化させておきましょう!
10月から一定の条件を満たしたパートも社会保険への加入が義務付けられました。
本人や会社の費用負担も変わるため新聞の1面でも取り上げられていましたが、多くの報道において重要な箇所で誤解を招いているように感じます。
令和6年10月からはさらに拡大されるため、この機会に覚えておきましょう。
自動車会社も含め社会保険の加入は、原則として週30時間以上勤務(所定労働時間の3/4以上)の方が加入しなければなりません。
その際の負担額としては、本人の給与から控除される額とほぼ同額を会社も負担しています。
従って会社としては週30時間未満のパート労働者を多く雇用した方が法定福利費は少なく済むため、業務内容によってはパート労働者をフル活用している会社もあります。
ただし今回の改正では、一定の要件を満たしたパート労働者(以下、短時間労働者という)も社会保険に加入しなければなりません。
まず規模として100人を超える事業所が対象です(特定適用事業所)。
報道でよく誤解されている箇所がここで、「従業員が100人を超える」と記載がありますが、正しくは「被保険者が100人を超える」です。
被保険者とは、「社会保険に加入している人」ですので、従業員数とは大きく異なります。
令和6年10月からはさらに拡大し、「被保険者が50人を超える事業所」が対象となりますので、このあたりは誤解のないよう認識しておきましょう。
ちなみに「被保険者が100人を超える」の被保険者とは、現状の週30時間以上勤務の加入者であって、これから加入する短時間労働者は含まれません。
また短時間労働者に対しての要件を図表にまとめました。
少々ややこしいのが賃金88,000円以上の部分です。
実際にもらっている給与額をイメージしてしまいがちですが、対象となるのは基本給や諸手当で、残業時間や最低賃金において除外される精皆勤手当、通勤手当、家族手当等は含まれません。
分かりやすくいうと各人により決められた所定労働時間×時給をメインとし、あとは資格手当や役職手当等がある場合はそれも含めて88,000円以上か否かを判断し、以上の場合は短時間労働者に該当し社会保険に加入するといった流れです。
ただし、資格取得時の報酬月額には算入しなかった精皆勤手当等も含まれますので注意して下さい。
前述したように令和6年10月からは「被保険者が50人を超える事業所」にまで拡大します。
自動車会社においても特定適用事業所となった場合、パート労働者の多くが短時間労働者となり社会保険への加入が義務付けられると予測され、会社の法定福利費の大幅増は避けられません。
今のうちに生産性の向上を図り、利益をしっかり確保できる組織へ変革しておきましょう。
社員がイキイキ働く組織づくりを目指す
社会保険労務士/自動車整備コンサルタント 本田淳也(青森市)