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SUBARUだより「これからの自動車販売店経営術」第4回~離職率を下げる改善策~

こんにちは、社労士の本田淳也です。

SUBARUだよりの連載「これからの自動車販売店経営術」の第4弾が完成しました。

今回は「離職率を下げる改善策」です。

人出不足が顕著となっている現状では、出来る限り退職者を出さないのがセオリーとなります。

写真だと見えにくい方もいると思いますので、テキストでもアップしておきます。

ぜひご覧ください!

自動車整備コンサルタント・社会保険労務士 本田淳也(青森市)

“新入社員の3人に1人は3年以内に離職している”というデータがあります。

自動車販売店、特に整備士に至っては、その傾向が顕著だとも言われています。

人手不足や人材の流動化が叫ばれている中、離職率を下げる取り組みは会社にとって最重要課題のひとつ。

ここでは、自店のスタッフの皆様に末永く働いていただくためのヒントを紹介します。

 離職理由の鉄板は3つ

新規採用の難度が上がっている現状においては、いかに離職率を減少させるかが経営をスムーズに回す重要なポイントとなります。

複数のアンケートを見ても、離職理由の上位を占めるのが「労働条件」、「人間関係」、「やりがい」の3つ。

経営者の皆様も心当たりがあるのではないでしょうか。

では、実際に整備士が転職した理由をご覧ください(図表)。

上から労働時間、休日、賃金が高い割合を占めていて、離職と強い関係があることが分かります。

別の資料でも特に賃金に対する不満が多く、「労働時間に対して低い」、「他業種、他社と比べて低い」、「高度な技術を必要とする労働に対して低い」が上位を占めていて、とりわけ戦力となる30代~40代の子育て世代でこういった離職傾向があります。

このような離職者には賃金アップで引き留められる可能性があるものの、赤字状態では当然に難しく、前々号でお伝えたしたように生産性を向上して黒字体質へと変化していかなければなりません。

ここが改善できれば、残業時間や休日数も見直すことができます。

 人間関係には目を光らせる

次に「事業場での人間関係がよくなかった」も上位を占めます。

自動車会社に限らずですが、パワーハラスメント(以降、パワハラ)をしやすい上司、公平感を大きく欠くリーダー、仲間外れにする同僚などがいると、学校のイジメのようなもので、作業効率が落ちるばかりではなく、いくら賃金や休日といった労働条件が良くても、我満できず退職してしまうケースが多々あります。

ここでのポイントは、経営者やスタッフが日々努力して賃金アップや休日増に取り組んでいても、このような人間関係の問題を放っておくと、それが台無しになってしまうことです。

そうならないためにも経営者や上司が、しっかり対応し対策を施すこと、どんなに能力が高くてもパワハラを是正できない人を昇進させないこと、普段おろそかになっている社員研修や管理職研修を定期的に実施すること等を確実に実践していく必要があります。

また、「事業場に将来性を感じなかった」も上位にランクインします。

若い経営者で事業が拡大傾向の時は行動で示せるものの、トップが高齢になり現状維持路線となった際は、自分が描いているビジョンを会議や飲みの席で伝えないと、とりわけ若い従業員は将来性に疑問を持つことがありますので、機会を作り積極的に発信してきましょう。

 精神的報酬に注目すべし

「若い人って、続かなくてね~」とよく聞きます。

40代~50代と違って、一般的に“粘り弱い”と言われる世代で、実は筆者もそう思っていましたが、最近は価値観の違いなのではないかと感じるようになりました。

働く報酬として通常は、「金銭的報酬」、「ポスト的報酬」、「仕事的報酬」がありますが、近年は4つ目の「精神的報酬」が注目されています。

多くの若者は賃金額にはさほど興味がない、ポストはもっと興味がない、イイ仕事にもそれほど関心がなく、それより「楽しくやれる仕事」といった自分の気持ちの満足度に重点を置いているように感じます。

その中には承認欲求や人間関係も含まれてくるため、同じ業務でも20代に合った職場環境や人材育成が必要になります。

 本心を聞く作戦もあり

もう一つの図表「自動車整備関係従業員を続けていく上で重視すること」をご覧ください。

最も多い「給与・賃金が仕事に見合っている」の次に「仕事と生活の調和」が上がっています。

これは仕事もプライベートも大事にしたい、ワークライフバランスを意味します。

突き詰めると残業もほどほどに、休日もある程度欲しい、賃金もそれなりに必要といったように、一定の労働条件が必要という事になります。

あとは子どもの行事や親の病院付き添いといった自分以外の用事の際に、有給休暇で休めるような職場環境かどうかも重要でしょう。

次に多かったのが「満足のいく仕事ができる環境」です。

設備等のハード面が中心と思いますが、ここでは筆者がディーラー時代に感じたコミュニケーションの課題を取り上げたいと思います。

コミュニケーションは、別のアンケート「働きやすさに関して不満がある理由」でも上位に挙がっています。

自動車会社は営業部門、事務部門、整備部門と3つに分かれている会社が多く、スムーズに運営するには部署間の連携が必須となるものの、意外とギクシャクしていたり、暗黙の上下関係があったりと、そのやり取りに不満を抱えている従業員は少なくありません。

そのまま放っておくと、離職理由のひとつになりかねず、コミュニケーションを図れる場を定期的に設けるなど、実情に即した対策が必要となります。

最後になりますが、離職理由はその退職者、その会社によって変わります。

最も確実なのは退職者にその理由を聞き、その対応策を練ることです。

ただ、経営者が直接聞いても本音が出にくいので、仲の良い同僚に確認してもらう作戦をお勧めします。

また、離職には次号の「イキイキ働ける職場をめざして」の内容も関係してきますので、ぜひそちらも参考にして下さい。







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